就職促進給付
就職促進給付とは、求職者給付と同様に、雇用保険法の保険給付のひとつで名前の通りこれから就職(あるいは就職活動)しようとしている被保険者に対してお金が給付されるものです。
就職促進給付はその目的に合わせて次のような体系に分かれています。
就業手当
就業手当は、求職者の早期就職促進として、基本手当の受給資格者が就業に就いた場合において支給される保険給付です。
具体的な支給要件としては基本手当の受給資格者が次のいずれをも満たすことが必要となります。
【就業手当の主な受給要件】
○就業の日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3以上かつ45日以上であること
○離職前の事業主(関連事業主も含む)に再び雇用されたものでないこと
○基本手当の待機期間が経過した後に就業に就き、または事業を開始したこと
○受給資格に係る離職について離職理由に基づく給付制限を受けた場合において、待機期間満了後1か月
の期間については、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介により職業に就いたこと。
○雇入れをすることを求職の申し込みをした日前に約した事業主に雇用されたものでないこと
また就業手当の支給額は、現に職業に就いている日(当該職業に就かなかったこととした場合における同日から当該就業手当に係る基本手当の受給資格に係る受給期間の最後の日までの間に基本手当の支給を受けることができることとなる日があるときに限る)について、1日ごとに基本手当日額に3/10を乗じて得た額となります。
【就業手当の支給額】
就業手当の額=基本手当日額×30%(就業日ごとに支給)
再就職手当
再就職手当は、求職者の安定した職業への早期再就職の促進として、基本手当の受給資格者が厚生労働省令で定める安定した職業に就いた者である場合において支給される保険給付です。
具体的な支給要件としては基本手当の受給資格者が次のいずれをも満たすことが必要となります。
【再就職手当の受給要件】
○職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3以上であること。
○1年を超えて引き続き雇用されることが確実と認められる職業に就き、または事業(公共職業安定所が
認めたもの)を開始した受給資格者であって、再就職手当を支給することが当該受給資格者の職業の安
定に資すると認められるものであること
○離職前の事業主(関連事業主も含む)に再び雇用されたものでないこと
○基本手当の待機期間が経過した後に就業に就き、または事業を開始したこと
○受給資格に係る離職について離職理由に基づく給付制限を受けた場合において、待機期間満了後1か月
の期間については、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介により職業に就いたこと。
○雇入れをすることを求職の申し込みをした日前に約した事業主に雇用されたものでないこと
○就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと
また、再就職手当の支給額は、基本手当日額に、支給残日数に相当する日数に5/10(その職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が当該受給資格に基づく所定給付日数の2/3以上であるものにあっては6/10)を乗じて得た数を乗じて得た額が支給されます。
【再就職手当の支給額】
支給残日数 |
再就職手当の額 |
1/3以上 |
基本手当日額×(支給残日数×50%) |
2/3以上 |
基本手当日額×(支給残日数×60%) |
常用就職支度手当
常用就職支度手当は、就職困難な基本手当の受給資格者(障害者等)の安定した職への早期就職の促進として支給される保険給付です。
常用就職支度手当の支給対象となる就職困難者とは、次のいずれかに該当する者となります。
○45歳以上の受給資格者であって、雇用対策法の規定による認定を受けた再就職援助計画に係る援助対象
労働者
○季節的に雇用されていた特例受給資格者であって、一定の地域内に所在する事業所に通年雇用されてい
た者
○日雇労働被保険者として雇用されることを常態とする日雇受給資格者であって、45歳以上の者
○身体障害者、知的障害者、精神障害者
○その他厚生労働省令で定める就職が困難な者
そして常用就職支度手当は上記の就職困難者が次のいずれの条件をも満たした場合に支給されます。
【常用就職支度手当の受給要件】
○受給資格者について、職業に就いた日の前日における基本手当の支給日数が当該受給資格に基づく所定
給付日数の1/3未満であること
○1年以上引き続き雇用されることが確実であると認められる受給資格者等であって、
常用就職支度手当支給することが当該受給資格者等の職業の安定に資すると認められるものであること
○ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介により職業に就いたこと
○離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと
○待機期間または給付制限期間が経過した後に職業に就いたこと
○就職日以前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けたことがないこ
と
また常用就職支度手当の支給額は、基本手当日額に90(当該受給資格者(受給資格に基づく所定給付日数が270日以上である者は除く)に係る基本手当の支給日数90日未満である場合には、支給残日数(その数が45日を下回る場合にあっては、45))に4/10を乗じて得た数を乗じて得た額、されています。
【常用就職支度手当の支給額】
移転費
移転費は、基本手当の受給資格者が、ハローワークの紹介した商業に就くため、もしくはハローワーク所長の指示した公共職業訓練等を受けるためにその住所・居所を変更する場合に支給される保険給付です。
具体的には次の要件を満たした場合に支給されます。
【移転費の支給要件】
○待機または給付制限の期間が経過した後に就職し、または訓練等を受けることになった場合であって、
管轄公共職業安定所長が住所または居所の変更を必要と認めたこと
○当該就職について、就職準備金その他移転に要する費用(就職支度費)が、就職先の事業主から支給さ
れないこと、またはその支給額が移転費の額に満たないこと
○雇用期間が1年未満でないことその他特別の事情がないこと
【移転費の支給額】
移転費は、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、移転料および着後手当の6種類から成り立ち、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、移転料はそれぞれ旧居住地から新居住地までの順路によって支給され、着後手当は定額で支給されます。
広域求職活動費
広域求職活動費は、受給資格者がハローワークの紹介により広域求職活動を行う場合に支給される保険給付です。
具体的には次の要件を満たしたときに支給されます。
【広域求職活動費の支給要件】
○待機または給付制限期間が経過した後に広域求職活動を開始すること
○広域求職活動に要する費用が、訪問事業所の事業主から支給されないこと、または支給額が広域求職活
動費の額に満たないこと
【広域求職活動費の支給額】
広域求職活動費は、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、および宿泊料の5種類から構成され、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃は通常の経路・方法により所轄ハローワークの所在地から、訪問事業所の所在地を管轄するハローワークの所在地の経路までの順路によって計算されます。宿泊料は定額で支給されます。
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