みなし残業代制の注意点

「毎月あらかじめ○○時間分の残業代を定額で支給する」、というみなし残業代制を採用しているからといっても、一切残業代を支給しなくても良い、ということはありません。

つまり、労働者のその月の時間外労働時間数によってはみなし残業代に加えて、別途時間外労働手当を支給しなくてはならない場合も発生してきます。

次のいくつかのケースがそれに該当してきます。
(すべて40時間分のみなし残業代を支給する会社と仮定する)

労働日の時間外労働のみで残業時間数が40時間を超える場合

通常の労働日(主に月~金曜)の所定労働時間を過ぎてからの時間外労働のみで40時間を超えた場合、オーバーした部分については当然別途時間外労働手当を支給しなくてはなりません。

一般的な計算方法としては次のようになります。

(給与額÷月平均所定労働時間数)×1.25×(時間外労働時間数-40)

法定休日を含む時間外労働時間数が40時間を超えて勤務させ、かつ40時間を超えた部分の時間数が当該月の法定休日労働時間数以下の場合

分かりやすくいうと、法定休日(主に日曜日)の労働によってその月の時間外労働数が40時間を超えてしまうケースです(=法定休日の労働がなければその月の時間外労働数は40時間を超えない)。

40時間をオーバーしている部分が法定休日労働時の賃金の割増率(35%増)で計算する必要が生じてきます。

一般的な計算方法としては次のようになります。

(給与額÷月平均所定労働時間数)×1.35×(時間外労働時間数-40)

法定休日を含む時間外労働時間数が40時間を超えて勤務させ、かつ40時間を超えた部分の時間数が当該月の法定休日労働時間数よりも多い場合

法定休日の労働がなくても40時間を超える残業をしており、かつ法定休日の労働もしているケースです。

40時間をオーバーしている部分を通常の賃金の割増率(25%増)と法定休日の割増率(35%増)で分けて計算する必要があります。

一般的な計算方法としては次のようになります。

(給与額÷月平均所定労働時間数)×1.35×(法定休日労働時間数)
               +
(給与額÷月平均所定労働時間数)×1.25×(時間外労働時間数-40-法定休日労働時間数)

法定休日労働を含む時間外労働時間数が40時間以下であっても、当該月の時間外労働手当算定の結果、みなし残業代の金額を超える場合

みなし残業代制度なかったと仮定し、その月の時間外労働手当を通常通り計算してみて、みなし残業代よりも金額が多かったときのケースです。

みなし残業代は40時間分すべてが通常残業時の25%の金額で成り立っていることが多いので、その月の時間外労働時間数が40時間を超えていなくても、法定休日労働の時間数の割合が大きい場合にこうした可能性が生じてきます。

この場合、みなし残業代との差額を別途支給するのが一般的です。

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