給与規定の作り方

会社内の賃金に関するさまざまなルールを定めたものを給与規定(もしくは賃金規定など)といい、就業規則の一部として定めておく必要があります。

給与に関する規定は労働者が最も気にしている社内ルールといえます。
ここをしっかり定めておかないと後々に未払い残業代問題などの労務紛争に発展しかねません。
また昇給やインセンティブなどのルールを明文化しておくことによって労働者のモチベーション向上にも繋げることが出来ます。

給与規定を作成する際には最低限、次の事項を決めていくことが大事になります。

給与体系の明記

労働者に支給する給与を構成する項目にはどんな種類があるのか、を明確に示しておく必要があります。

【記載例】

 第○条 賃金の構成は次のとおりとする
  ①基本給
  ②職務手当
  ③時間外労働手当
  ④通勤手当
  ⑤住宅手当

その項目を支給する目的・対象者の明記

基本給以外の項目(役職手当や職務手当など)はどのような目的で、どの労働者に対して支給するのか、を明確にしておく、ということです。

【記載例】

 第○条 役職手当は部長職以上の管理者の地位の労働者に対して、月40時間分の時間外労働手当の
 相当額として支給する。

時間外労働手当の計算方法

労働者が時間外労働(深夜労働・休日労働含む)を行った際の割増賃金の計算率について記載しておく必要があります。
また、みなし残業代制を採用している会社の場合はどれだけ残業をすれば別途時間外労働手当を支給するのか、といったことも明確にしておく必要があります。

【記載例】

 第○条 労働者が法定労働時間を超え、または法定休日もしくは午後10時から午前5時までの深夜に
 労働した場合には、次の区分により時間外労働手当を支給する。

 ①勤務日に法定労働時間を超えて勤務させた場合
 (基準内給与÷月平均所定労働時間)×1.25×勤務日の時間外労働時間数

 ②法定休日に勤務させた場合
 (基準内給与÷月平均所定労働時間)×1.35×法定休日労働時間数

不就労部分の控除方法

ノーワークノーペイの原則に則り、遅刻・欠勤・早退などの不就労部分については給をカットする旨、記載します。
また、その際の控除計算の仕方も明確にしておくことが重要です。

【記載例】

 第○条 労働者が遅刻や欠勤、賃金計算期間の途中における入社・退社により不就労日があるときは、
 その部分の賃金は次のとおり支給しないものとする。

(基準内給与÷月平均所定労働時間)×欠勤等、不就労時間数

所定労働時間・所定労働日数の制定

時間外労働手当や欠勤控除の計算をする際に用いる月平均の所定労働時間数や労働日数を定めます。
これを定めておくことによって、何月であろうと公平な給与計算が可能となります

【記載例】

 第○条 月平均所定労働日数は1年を平均して次のとおり算出する。なお小数点第3位以下は切り捨てる。

 年間所定労働日数(年間総暦日数-年間所定休日数)÷12

 ②月平均所定労働時間数は月平均所定労働日数に8を乗じた値とする

賃金の計算期間および支払日

給与の締め日・支払い日についての説明です。
いつからいつまで働いた分の給与がいつ支給されるのか、を明らかにします。

【記載例】

 第○条 賃金の計算期間および支払日は次のとおりとする
 ①賃金の計算期間は、当月1日から起算し、当月末日までの期間とする
 ②当該機関の賃金は、翌月25日(支払日が休日の場合はその前日)に支払う

端数処理について

時間外労働手当や欠勤控除などの計算をした際に端数が発生した場合の処理の仕方についてです。
一般的には、残業代など支給項目(プラスの計算)については端数切り上げ、欠勤などの控除項目(マイナスの計算)は端数切り捨てにします。

【記載例】

 第○条 賃金の計算において円未満の端数が生じた場合には、控除金額の計算は円未満を切り捨て、
 支給金額は円未満を切り上げることとする。

給与改定について

給与額の昇給(あるいは降給)の原則的な月の設定や、どのように査定され金額が決まるのか、などを明文化しておくことが重要となります。

【記載例】

 第○条 賃金改定は原則的に毎年4月に行う。ただし、会社業績の低下やその他やむを得ない事由が
 ある場合は改定時期の変更、もしくは改定を行わないこともある。

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